文鳥の繁殖をしたこともないのに、遺伝について書いたりして恐縮だけど、十姉妹にいたっては、飼ったことすらない。そんなやつに十姉妹の品種と遺伝なんて言われたくない、というのも尤もだが、つづきを書いてしまおう。まず、色んな品種については、
世界のジュウシマツ展
http://jbac.spawn.jp/contest_main.htmlのリンク先の入賞画像をみてください。
□ ヨーロッパ十姉妹
和十姉妹の基本形は黒十姉妹だったが、ヨーロッパ十姉妹の基本形はチョコレート十姉妹。和十姉妹(黒十姉妹)にシマキンパラ(など)を交配して固定した品種がダークブラウン。これをキンパラと交配して固定したのが、チョコレート十姉妹。チョコレート十姉妹および、その色変わり変種をヨーロッパ十姉妹という。和十姉妹とヨーロッパ十姉妹の間には中間的な外見の子が生まれる。
色変、斑、巻毛の遺伝子はヨーロッパ十姉妹も和十姉妹と共通している。ヨーロッパ十姉妹では、斑(小斑、並、差し毛)のないものが中心。これを一色またはセルフという。セルフには次の色変種がある。
(1)チョコレート
これが基本形。黒い色素と茶色い色素によって体色が作られる。
(2)チェストナット、フォーン
チェストナットは黒い色素を減らして濃い茶色。フォーンは黒い色素をもっと減らして茶色。優性>劣性については、チョコレート>チェストナット>フォーン、となる。(複対立遺伝子)
和十姉妹の黒十姉妹にチェストナット遺伝子がはたらくとハバナ十姉妹になり、フォーン遺伝子がはたらくと茶十姉妹になる。
(3)グレー
茶色い色素を減らして、黒い色素を増やす。茶色を灰色で置き換えたような外見。チョコレートにグレー遺伝子がはたらいたものはブラックグレー、真っ黒なのでカラスと呼ばれることもある。フォーングレーは、フォーンとグレーの両方の遺伝子がはたらいたもので、灰色をしている。劣性。
(4)パール
日本で発見された色変種だが、今はヨーロッパ十姉妹に多い。黒い色素が減り、茶色い色の濃淡ができる。パールとグレーの両方の遺伝子がはたらいたものは、灰色の濃淡のある十姉妹で、パールグレーと呼ばれる。性染色体上劣性。
(5)イノ
黒い色素を大幅に減らし、茶色い色素も減らす。肌色で目が赤い。クリームイノとも言う。これとグレー遺伝子がはたらいたのはグレーイノと呼ばれ、非常に薄い灰色。性染色体上劣性。
(6)ダイリュート、クリアウイング
全体に色が薄くなり、とくに胴体中央部の色素が大きく減る。中央部の色素の減少がはっきりしているものをクリアウイングと呼ぶ。ダイリュートとクリアウイングの関係は、単なる個体差であるという説や、連鎖している、複対立であるなどの説がある。劣性。
(7)アルビノ
アルビノには2種類ある。日本産のアルビノとヨーロッパ産のアルビノ。ともに全身が白くて眼が赤い。両方とも劣性だが、日本アルビノはヘテロでは色素を減少させるはたらきがあり、ダイリュートに似ているらしい。日本アルビノのヘテロにチェストナット(またはフォーン)遺伝子がはたらくと薄ハバナ十姉妹になる?
ほかに、白十姉妹にイノ遺伝子がはたらくと、アルビノと同じ外見になる。
ヨーロッパ十姉妹にも白、小斑、並、差し毛は存在する。たとえばブラックグレーで小斑の十姉妹は、小斑(有色)の部分がブラックグレーで地の部分は白。(これはとくに黎明と呼ばれる)ヨーロッパ十姉妹の小斑についてはパイドと呼ぶことが多い。
ヨーロッパ十姉妹の芸ものも存在する。あるいは、存在しうる。
□ まとめ
十姉妹の品種は次の要素で決定される。
(1)基本形
ア.和十姉妹 イ.ヨーロッパ十姉妹
(2)色変種
ア.チョコレート(黒) イ.チェストナット(ハバナ) ウ.フォーン(茶) エ.グレー オ.パール カ.イノ キ.ダイリュート ク.アルビノ
およびこれらの組み合わせ
(3)斑(パイド)
ア.白 イ.パイド(小斑)ウ.並 エ.差し毛 オ.セルフ(一色)
(4)巻毛
ア.ノーマル イ.梵天 ウ.中納言 エ.千代田 オ.大納言 カ.キング
十姉妹の品種と遺伝(1)
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posted by yanagisawa at 01:06|
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文鳥と遺伝