2013年06月30日

たまには数学でも

ネット上にあった数学の入試問題を久しぶりにやってみたら、面白かった。私が解いたのは改題されたものだが、元の出題は↓(2011年大阪大学)

handai2011.JPG

定型的に解けないので、受験生にとっては嫌な問題だ。でも、暇つぶし用としては、面白い。私の解答は、

(1)r>|p|, |p+q| であるような r を選ぶ. g(x)=rx-(px+q)=(r-p)x-q とすると, g(1) > 0, 傾き > 0 であるので, x≧1 のとき,g(x) > 0 .したがって、 px+q≦rx. 同様に、-px-q≦rx も示せるので, |px+q|≦rx.
(2)a, b, c>0 であるので、x≧1 では、f(x)>x3, x+(a/3)>x, したがって、{f(x)}2/3+{f(x)}1/3{x+(a/3)}+{x+(a/3)}2>3x2.
f(x)-(x+a/3)3=px+q と置くと,
|{f(x)}1/3-{x+(a/3)}|=|f(x)-(x+a/3)|/|{f(x)}2/3+{f(x)}1/3{x+(a/3)}+{x+(a/3)2}|<|px+q|/3x2≦rx/3x2≦ℓ/x.
(3)自然数 n に対して、|{f(n)}1/3-{n+(a/3)}|≦ℓ/n であるので、n→+∞のとき、|{f(n)}1/3-{n+(a/3)}|→0,{f(n)}1/3-n は整数なので,a/3は自然数でなければならない。また、|{f(n)}1/3-{n+(a/3)}| が自然数値をとることから、|{f(n)}1/3-{n+(a/3)}|→0 であるためには、ある自然数 n0 より大きな n では、{f(n)}1/3-{n+(a/3)}=0 であることが必要。無限に多くの n に対して、f(n)={n+(a/3)}3 が成り立つので、多項式として、f(x)={x+(a/3)}3.

別な見方で、もっと一般的な場合について考えてみよう。

問題
実数を係数とし、最高次の係数が1である d 次多項式について考える。どのような整数 n に対しても f(n)=md となる整数 m が存在するならば、ある整数の定数 p を用いて、f(x)=(x+p)d と表されることを示せ。

解答 
f(x)=xd+ad-1xd-1+ad-2xd-2+ ... +a1x+a0 とおいて, ad-1を超えない最大の d の倍数を dp とする.
(n+p+1)d=nd+d(p+1)nd-1+(n の d-2 次以下の多項式)
f(n)=nd+ad-1nd-1+(n の d-2 次以下の多項式)
(n+p-1)d=nd+d(p-1)nd-1+(n の d-2 次以下の多項式)
ここで,d(p-1) < ad-1 < d(p+1) であるので,n→+∞のとき、
lim{(n+p+1)d-f(n)}=lim{f(n)-(n+p-1)d}=+∞
したがって、ある自然数 n0 よりも大きな自然数 n について,
(n+p-1)d < f(n) < (n+p+1)d
が成り立つ.(n+p-1)d, (n+p)d, (n+p+1)d が隣接する3つの d 乗数であるので、f(n)=(n+p)d でなければならない.無限に多くの x について、f(x)=(x+p)d が成り立つので、これは多項式として恒等式である。

これと似たような問題が、JMO夏季セミナーで取上げられていた。

実数係数の多項式 f(x) があり,任意の整数 n に対して,f(n) はある整数の2乗になっている。このとき,f(x)=g(x)2 となる実数係数多項式 g(x) が存在することを示せ.

解答の前に、多項式の性質について、すこし準備をしよう。多項式 P(x) に対して、P(x+1)-P(x) を対応させる操作について考える。この操作を施すと、次数が元の多項式よりも低くなることは簡単に分かる。P(x+1)-P(x) に対して、さらにこの操作を施すと、P(x+2)-P(x+1)-{P(x+1)-P(x)}=P(x+2)-2P(x+1)+P(x) となる。このように、順次この操作を施した場合には、次のようになる事がわかる。
P(x)
→ P(x+1)-P(x)
→ P(x+2)-2P(x+1)+P(x)
→ P(x+3)-3P(x+2)+3P(x+1)-P(x)
→ P(x+4)-4P(x+3)+6P(x+2)-4P(x+1)+P(x)
このように、n 回施したときの係数は(y-1)nの係数に一致している。(証明は帰納法)この操作で次数が落ちることから、例えば、P(x)が3次式ならば、4回の操作で0になる。 つまり、
P(x+4)-4P(x+3)+6P(x+2)-4P(x+1)+P(x)=0.
逆にある関数φ(x)が、自然数 m に対して、
φ(m+4)-4φ(m+3)+6φ(m+2)-4φ(m+1)+φ(m)=0
を満たしていたとしよう。このとき、P(1)=φ(1), P(2)=φ(2), P(3)=φ(3), P(4)=φ(4) を満たす3次以下の多項式 P(x) が存在する。
P(5)-4P(4)+6P(3)-4P(2)+P(1)=0
φ(5)-4φ(4)+6φ(3)-4φ(2)+φ(1)=0
によって、それぞれ P(5), φ(5) が決まるので、これらは一致し、帰納的にすべての自然数 m について、φ(m)=P(m)となる。

解答
十分に大きな n に対して f(n) が正なので、f(x) の次数は偶数で、最高次の係数は正である。
f(x)=a2kx2k+a2k-1x2k-1+ ... +a1x+a0
とおき、多項式
g(x)=bkxk+bk-1xk-1+ ... +b1x+b0
について考える。
g(x)2=bk2kx2k+2bkbk-1x2k-1+(bk-12+2bkbk-2)x2k-2+ ....
であるから、bk2k=a2k, 2bkbk-1=a2k-1, bk-12+2bkbk-2=a2k, ... となるように、bk, bk-1, ..., b1, b0 を順に選べば、g(x) は最高次の係数が正であり、f(x)-g(x)2が k-1 次以下の多項式h(x)になるようにできる。n を自然数とすると、n → +∞ のとき、
|√f(n)-g(n)|=|f(n)-g(n)2|/|√f(n)+g(n)|≦|h(n)/g(n)| → 0
また、g(x)に、P(x) → P(x+1)-P(x) という操作をk+1回繰り返すと次を得る。
g(x+k+1)-k+1C1g(x+k)+k+2C2g(x+k-1)+ ...+(-1)k+1g(x)=0
したがって、
|√f(n+k+1)-k+1C1√f(n+k)+k+2C2√f(n+k-1)+ ...+(-1)k+1√f(n)|
=|{√f(n+k+1)-k+1C1√f(n+k)+k+2C2√f(n+k-1)+ ...+(-1)k+1f(n)}-{g(n+k+1)-k+1C1g(n+k)+k+2C2g(n+k-1)+ ...+(-1)k+1g(n)}|
≦|√f(n+k+1)-g(n+k+1)|+k+1C1|√f(n+k)-g(n+k)|+ ... +|√f(n)-g(n)|
→ 0 (as n → +∞)
√f(n+k+1)-k+1C1√f(n+k)+k+2C2√f(n+k-1)+ ...+(-1)k+1√f(n) は整数値であるから、ある自然数 n0 以上の n については、
√f(n+k+1)-k+1C1√f(n+k)+k+2C2√f(n+k-1)+ ...+(-1)k+1√f(n)=0
でなければならない。そこで、k次以下の多項式 r(x) を,
r(n0)=√f(n0), r(n0+1)=√f(n0+1), ..., r(n0+k)=√f(n0+k) を満たすものとすれば、帰納的に、n0 以上の自然数 n について √f(n)=r(n), つまり f(n)=r(n)2 が成り立つ。f(x) と r(x)2 は無限に多くの x について等しいので、f(x)=r(x)2.

これらの問題の先にあるのは、次の問題のように思える。

問題
実数係数の多項式 f(x), g(x) について考える。任意の整数 m に対して、f(m)=g(n) をみたす整数 n が存在するならば、f(x)=g(h(x)) をみたす実数係数多項式h(x)が存在する、と言えるか?
posted by yanagisawa at 21:12| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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