2012年01月13日

白文鳥はいつ誕生したのか?

ジャワ島に住む野生の文鳥は、江戸時代から日本に輸入されていた。その中に白文鳥があらわれ、やがて白文鳥が飼育の主流となっていった。しかし、それがいつの事なのかは、よく分かっていない。

弥富市又八神社境内にある「白文鳥発祥の碑」によれば、元治元年(1864年)に八重という女が文鳥を持参して嫁いだため、又八部落での文鳥の生産がはじまった。明治初年頃になって、突然変異により白文鳥が生まれ、それが白文鳥のはじまりである。と説明される。しかし、この碑ができたのは1970年であり、これより古い文献に、同じ内容を見つけることはできなかった。そして、この碑文に矛盾する文献は多くある。

私が探した中でもっとも古い白文鳥の記録は、1865年2月27日付けで、ロバート・スウィンホーが、イギリス鳥学会の学術雑誌「IBIS」に台湾から送った報告である。スウィンホーは著名な博物学者で、台湾の高雄に在住していた。

I communicated before (Ibis,1863,p.380) the fact of Munia acuticauda having been domesticated in Japan to the extent of every shade of albinism and melanism, but I have not yet discovered whether the bird is found wild in those islands. I have since seen domesticated Java Sparrows (Oryxonis Oryzivora), also from Japan. These birds can scarcely be indigenous to Japan, and must have been taken there by the Dutch from Java. In the domesticated race every variety of albinism occured, but I saw no singns of a melanite tendency. The domestication may have only been partial. They breed freely in confinement, as do the Muniae.

Swinhoe, Robert:"Letters, Extracts from Correspondece, Notices, &c.",the Ibis,vol.I.1865,p348

以前、コシジロキンパラが日本で家禽化され、さまざまなアルビニズム(白化)とメラニズム(黒化)が起きている事実を、報告した。しかし、この鳥が日本で野生の状態で見られるのかは、まだ分からない。それ以降、私は、日本からの家禽化したブンチョウも見てきた。これらの鳥は、日本にはほとんど生息せず、オランダ人によってジャワから日本に運ばれたにちがいない。この家禽化された種では、さまざまなアルビニズムが起きたが、メラニズムの傾向はまったく見ていない。家禽化は部分的なものかもしれない。ブンチョウはコシジロキンパラのように、飼育下で自由に繁殖している。

「さまざまなアルビニズム(every variety of albinism)」とは何だろうか? アルビニズムとは通常全身が白くなることをいうので(サクラ文鳥も含むのかもしれないが)白文鳥のことだろう。ヒナのうちは背中に灰色の毛があるので、こういう言い方なのだと思う。

つまり1865年までには台湾で日本の白文鳥を見る事ができたとわかるが、では白文鳥はいつから日本にいたのか?

スウィンホーは1860年に駐台湾イギリス領事に任命され、1861年1月、台湾に赴任した。1862年5月には病気になり、イギリスに帰国した。イギリスで彼はロンドン動物学会のフェローに選ばれた。そして1864年2月に台湾にもどった。1864年9月に淡水区から高雄に移った。

このことから、スウィンホーが台湾で白文鳥をみたのは、1864年2月以降だとわかる。

そして、1860年には、日本で飼われていた白十姉妹などがロンドンに送られているにもかかわらず、白文鳥は送られていないことから、白文鳥が誕生したのは1860年から1864年にかけてだろう。

だとしたら、「白文鳥発祥の碑」の元治元年(1864年)とは、じつは、白文鳥が流行した年ではなかっただろうか? この年号が白文鳥と結びついて記憶され伝えられるうちに、八重が文鳥を持参して嫁いできた話と混乱し、100年後の碑文は、混乱した内容になってしまった。

そう考えれば、元治元年というみょうに具体的な記述も、納得できる気がする。

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posted by yanagisawa at 18:35| Comment(0) | TrackBack(0) | 飼鳥の歴史
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