2012年01月01日

「十姉妹」の由来

ジュウシマツは何故十姉妹というのか?

よくある答えは、「カゴの中でもみんな仲良くしているから」で、まあ納得できる答えでそれでいいのですけど、名前の由来としては、誤っている。

十姉妹というのは、江戸時代までは野鳥のコシジロキンパラ(と、その類)をさす言葉だったからだ。


このことは『浙江通志』(明国、嘉靖40年・1562年刊)の中に書かれている。『浙江通志』とは、浙江(チョーチャン)、つまり現在の浙江省周辺の通志で、その物産の部の「嘉興府」に、次のような文章が見られる。

 透倉 俗名十姉妹籠其一即其群皆来

この文章の意味は「透倉」を俗に十姉妹と呼び、もし鳥籠の中に1羽の十姉妹が飼われていれば、たくさんの仲間が群れをなして飛んでくるという意味である。

(鷲尾絖一郎『十姉妹の謎を追う!』近代文藝社)

つまり「群れる」というのが「十姉妹」意味のようだ。

ただ、もう少しはっきりした何か根拠のようなものはないのだろうか、と思って探してみたが、結局分からなかった。以下、調べたことを羅列しておく。

1972年刊の林語堂の當代漢英詞典によると、「広東におけるある種の姉妹的関係で、少女たちが独立して働き、結婚しないことを誓う」とあり、諸橋大漢和辞典によると、「渤海の古俗で、婦人が互いに約束しお互いの夫の行を監察すること」とあるので、「十姉妹」は結束する女性につかう言葉なのかもしれない。

また、動植物に関しては@鳥のジュウシマツ(コシジロキンパラ)、Aサクラバラ、Bセキチク、Cハコネウツギ・ヤマウツギ、の用例がある。

Aサクラバラの用例が、古くからもっとも多い。賀集久太郎著『薔薇栽培新書』によれば、『汝南圃史』、『農圃六書』、『嘉興縣志』、『花鏡』の漢籍に「十姉妹」の記載がある。

薔薇栽培新書
http://kindai.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/840278/17

ほかに、『高濂草花譜』(1591年)、『群芳譜』(1621年)にも記載があった。

2012010101.jpg
『高濂草花譜』(早稲田大学図書館所蔵)

2012010102.jpg
『群芳譜』(早稲田大学図書館所蔵)


Bのセキチクについては、『河間府志』(1540年)に例がある。

2012010103.jpg
『河間府志』(国会図書館所蔵)

Cのハコネウツギ・ヤマウツギは、『大和本草』(1709年)に例がある。

2012010104.jpg
『大和本草』(中村学園大学図書館所蔵)(版がつぶれて読めないですが右端に)

B、Cはあまり例がなく、どの程度使われていたのか分からない。

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posted by yanagisawa at 17:04| Comment(0) | TrackBack(0) | 飼鳥の歴史
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