2011年10月23日

「さるか」(九官鳥の異称)についてのメモ

大辞泉、日本国語大辞典などの辞書には、「さるか【秦吉了】」の項があり九官鳥の異称であると、説明されている。しかし、秦吉了は「しんきつりょう」などと読む語で、当て字である。

九官鳥は日本に生息しないので、「さるか」は和語ではなく外来語のはずであるが、語源は不明であった。(なお、大言海は「蕃語ならむ」と推定している。)

「さるか」の最古の用例は1694年に、貝原好古が著した「和爾雅」※ にある。

その後の多くの江戸時代の書物に、九官鳥の異称として「さるか」が揚げられているが、それが何語なのかは説明されていない。また、じっさいに使われていたのか、単に記録として記載したのかは不明。

「さるか」の語源は、サンスクリット語で九官鳥などを意味する sarika である。これが東南アジアに伝わり、タイ語およびカンボジア語では、九官鳥をサリカという。

16世紀初頭には、タイのアユタヤとカンボジアのピネアルーへ日本の朱印船が往来し、日本人町が存在した。そのため「さるか」と転じて、日本にもたらされたのだろう。

しかし、1635年ころ、朱印船貿易が廃止されると、日本とこれらの国との直接の交易はなくなり、「さるか」という言葉だけが日本に残った。そして、時代とともに、その出自が分からなくなっていったのだと、考える。

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※ 和爾雅の原文は、ここ (早稲田大学図書館古典籍データベース)でみられる。ただし引用している秦吉了の文章は、ハッカチョウについてのもので、それを九官鳥と誤認している。
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posted by yanagisawa at 17:26| Comment(1) | TrackBack(0) | 九官鳥
この記事へのコメント
こんにちは。台風のアジア名にある「sarika サリカー」について調べていてここにたどり着きました。勉強になりましたm(__)m
Posted by くも at 2016年10月14日 15:24
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