『鳥類写生図譜』は、昭和2年から昭和13年にかけて発行された、図版のシリーズで花鳥画と博物図鑑を兼ねた性質をもっています。
入手したのは、おそらく、それを後からまとめたもので、大鳥篇と小鳥篇に分かれて帙(紙箱)に入っています。
鳥一種についての構成は、以下の通り。
本図に薄紙のカバーがつき、鳥名、性別、植物名などが記されます。
本図は、植物と鳥の組み合わせ。

附図の薄紙カバーには、解説があります。生物学的な解説のほかに、文化史的な解説が充実しています。
本図は原色版印刷という今はない特殊な印刷、附図は、オフセット印刷という組み合わせのようです。
このセットが2つないし3つで1輯とし、毎月あるいは数か月ごとに発行されました。12輯(25鳥種、50枚)で1期をなし、全部で4期、つまり100種200枚の図版が発行されました。
著者は、小泉、土岡の連名ですが、実質は、土岡の作品です。

財団法人啓明会事業報告書. 第19回(昭和12年度)
私が入手したのは、欠落が多くあり、あるのは、合計200枚のうち140枚くらい、説明の薄紙も多くが欠けています。残念ながら、文鳥の図はありませんでした。


絵は美しく、大きな図版なので迫力があります。


『鳥類写生図譜』は大きな図書館(国会図書館など)で見られます。1982年に、『日本鳥類写生大図譜』(講談社)、1991年に『完全復刻版 鳥類写生図譜』(しこうしゃ図書販売、全四冊)として復刻されていますが、いずれも絶版・高価なので、図書館で探すようです。

なんか鳥の絵は洋物の絵の具で描かれるより日本画で使う画材で描かれた方が深くて良いような気がします。
実家にも昔そういうものがたくさんありましたね。私も好きな鳥の絵を手に入れてみたくなります